テック企業の動向とインフラ変革

企業・業界動向
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企業・業界動向2026年04月11日

ポイント

  • 大手テック企業がデータセンター投資を加速。
  • AI研究が地政学的な緊張に直面。
  • 国内BS4K放送や104番サービスが終了。
  • AIの倫理的利用とサプライチェーンセキュリティが焦点に。

マイクロソフト、テキサス州の巨大データセンター拡張計画に参加

ビットコインマイニング企業からデータセンター建設企業へと転身したCrusoeは、テキサス州アビリーンにあるデータセンターキャンパスに900メガワットの容量を追加する計画を発表した。この拡張はマイクロソフトのAI事業を支援するためのものであり、CrusoeがOracleとOpenAIのために建設中の1.2ギガワット施設に隣接して建設される。当初、OracleとOpenAIが追加容量をリースする予定だったが、交渉と資金調達が不調に終わったため、Metaがこの未建設のデータセンター拡張部分を確保すると見られていた。しかし、最終的にマイクロソフトがこの敷地に入居することになった。新しいキャンパスには2つのデータホールと、900MWの電力を供給できるオンサイト発電所が設置される予定である。

米上院議員、データセンターに電力消費量の報告義務化を要求

米国上院議員らは、データセンターやその他の大規模エネルギー消費者に電力消費量の報告を義務付けるよう求めている。このデータは、地域社会に対する説明責任を果たす上で不可欠であると主張されている。エリザベス・ウォーレン上院議員とジョシュ・ホーリー上院議員は、米国政府の公式エネルギー統計機関であるエネルギー情報局(EIA)に対し、データセンターなどの大規模負荷に対する年次報告の義務化を確立するよう書簡を送った。この書簡は、トランプ大統領が今月初めに主要なAIおよびクラウド企業に署名を促した「料金支払者保護誓約」に言及している。この誓約は、AIのエネルギー需要増大による電気料金上昇から米国消費者を保護することを目的としているが、強制力がないと指摘されている。両上院議員は、議会と国民がこの自主的な誓約に対する監視に必要なデータが不足していると述べている。

AI研究と地政学の分離が困難に、国際会議で参加制限の動き

世界トップのAI研究会議であるニューラル情報処理システム会議(NeurIPS)は、地政学とグローバルな科学協力の間の衝突に巻き込まれた最新の組織となった。会議の主催者は、中国のAI研究者がイベントをボイコットすると脅した後、国際参加者に対する物議を醸す新たな制限を発表したが、すぐに撤回した。米中関係を研究する諮問会社DGA-Albright Stonebridgeのパートナーであるポール・トリオーロ氏は、これは潜在的な転換点であると述べている。トリオーロ氏は、中国の研究者をNeurIPSに引き付けることは米国の利益になると主張しているが、一部の米国当局者は、特にワシントンで敏感な話題となっているAIにおいて、米中科学者が協力を解消するよう求めている。この事件は、AI研究を巡る政治的緊張を深め、中国の科学者が米国の大学で働くことを思いとどまらせる可能性がある。

Anthropic、中国勢との競争と安全性へのこだわりで苦戦か

米国防総省からのモデル保護策緩和要求に抵抗した後、好意的な評価を受けていたAnthropicは、2026年第4四半期にも株式公開を計画していると報じられている。しかし、財政的圧力、中国からの競争、そして実用性を犠牲にすることなくある程度の安全性を提供するAIモデルを開発するという課題に直面しており、株式公開が間に合わない可能性もある。同社の財務状況は芳しくなく、今月初めの法廷提出書類によると、300億ドルを調達したにもかかわらず、推論とトレーニングだけで100億ドルを費やし、50億ドルしか収益を上げていないことが明らかになった。このような背景から、ピーク時のトークン需要を削減するための最近のコスト削減策は、楽観的な見通しを抱かせるものではない。さらに根本的なリスクとして、中国からのますます強力な競争に直面して、関連性を維持できるかという問題がある。

OpenAI、Codexにプラグイン機能を追加しコーディング以外の用途へ拡大

OpenAIは、エージェント型コーディングアプリ「Codex」にプラグインサポートを追加した。これは、競合他社であるAnthropic(Claude Code)やGoogle(Geminiのコマンドラインインターフェース)が提供する同様の機能に追随する動きと見られる。OpenAIが「プラグイン」と呼ぶものは、実際にはスキル(「Codexへのワークフローを記述するプロンプト」)、アプリ統合、MCP(Model Context Protocol)サーバーを含むバンドルである。これにより、特定のタスクのためにCodexを特定の構成に設定し、ユーザーにとってより簡単で、組織内の複数のユーザー間で再現可能にすることが可能になる。これらの機能の多くは、パワーユーザーがカスタム指示を導入したり、MCPサーバーを使用したりすることで以前から可能であったが、プラグイン機能により基本的にワンクリックでインストールできるようになった。現在、Codexアプリにはプラグインセクションがあり、ユーザーはCodexを統合するための検索可能なプラグインライブラリにアクセスできる。

Wikipedia、LLMによる記事生成を原則禁止するガイドラインを更新

Wikipediaを運営する非営利団体Wikimedia Foundationは3月20日(UTC)にコンテンツガイドラインを更新し、記事コンテンツの生成または書き換えに大規模言語モデル(LLM)を使用することを原則禁止すると明記した。ChatGPT、Gemini、DeepSeekなどのLLMによって生成されたテキストは、Wikipediaのコアコンテンツポリシーのいくつかに違反することが多いため、この措置が取られた。ただし、2つの例外が設けられている。1つは、編集者がLLMを使用して自身の文章に基本的な校正を提案し、人間のレビュー後にその一部を組み込む場合。もう1つは、LLMを使用して他言語版Wikipediaの記事を英語版に翻訳する場合である。後者については、Wikipedia:LLM支援翻訳に記載されているガイドラインに従う必要がある。記事がLLMで生成されたものかどうかの判断基準は明示されておらず、文体や言語上の特徴だけでなく、より多くの証拠が必要であり、テキストがコアコンテンツポリシーに準拠しているか、また当該編集者による最近の編集内容を考慮するのが最善であるとされている。

楽天「Rakuten AI 3.0」の出自巡り議論、国産LLM開発の課題浮き彫りに

2026年3月17日、楽天グループが「国内最大規模」と謳う大規模言語モデル(LLM)「Rakuten AI 3.0」を発表した。約7000億パラメータのMoEモデルで、日本語ベンチマークではGPT-4oを上回るスコアを記録したとされている。しかし、公開直後にHugging Face上のconfig.jsonに「model_type: “deepseek_v3″」という記述が見つかり、ベースモデルがDeepSeek V3であることが判明した。さらに、初回公開時にはDeepSeek由来のMITライセンスファイルが含まれておらず、炎上後に「NOTICE」ファイルとして追加される経緯があった。経済産業省・NEDOの補助を受けた「国産AI」がDeepSeek V3ベースであり、その出自が積極的に明示されていなかったことが批判の核心となった。この騒動は、「そもそもファインチューンとは何か」「なぜ1から国産LLMを作るのは難しいのか」「現実的にはどんな手法があるのか」といった、国産LLM開発における課題を浮き彫りにした。

NTT「104」番号案内と紙の電話帳が135年の歴史に幕

NTT東日本と西日本は、個人や企業の電話番号を案内するサービス「104番」を3月末で終了する。店舗などの番号を掲載する業種別の紙の電話帳「タウンページ」の発行も同時期に終える。番号案内と電話帳のサービス開始は1890年(明治23年)に遡り、135年の歴史があった。近年はスマートフォンの普及などで電話番号の検索方法が多様化し、番号案内の利用数が大幅に減少していたため、この決定に至った。今後はインターネット版の「iタウンページ」で電話番号を検索することが可能となる。104番の利用回数は1989年度の約12億8000万回をピークに、2024年度には約1000万回まで減少した。タウンページの広告掲載件数も2000年度の181万件を最盛期に、2023年度は11万6000件と94%減少し、発行部数も半分以下となっていた。

ビーエスフジとBSテレ東、BS4K放送の終了を発表

BS4K放送からの撤退を検討していると報じられていた民放BS局5社のうち、ビーエスフジとBSテレビ東京は3月27日、相次いで放送終了を発表した。BSテレビ東京は2027年1月23日をもって終了すると具体的な終了日も明らかにしている。ビーエスフジは、インターネット配信の急速な拡大などにより視聴環境が大きく変化し、4K放送事業を取り巻く状況やビジネス面での厳しさが増していることを理由に挙げている。BSテレビ東京は「広告収益の確保が困難な状況が続いている」と説明し、秋ごろにBS民放5社とWOWOWが共同で始める「WOWOWオンデマンド」での無料4K配信に移行する形となる。4Kコンテンツは引き続き制作される予定である。

DolbyがSnapchatを提訴、AV1コーデックのロイヤリティフリー原則に疑問符

AOMedia Video 1(AV1)は、HEVC/H.265などの他の動画コーデックに代わるオープンでロイヤリティフリーな選択肢として、複数のテクノロジー企業によって開発された。しかし、Dolby Laboratories Inc.が今週Snap Inc.を特許侵害で提訴したことにより、そのロイヤリティフリーの約束に疑問が投げかけられている。現在、米国ではHEVCの使用を巡る多数の訴訟が係争中であり、NokiaやInterDigitalなどの関連特許保有者が、HEVCに不可欠とされる特許技術の使用に対するライセンス料を求めて、多数のハードウェアベンダーやストリーミングサービスプロバイダーを提訴している。AV1の実装を巡る訴訟は比較的珍しい。Alliance for Open Media(AOMedia)は、Amazon、Apple、Google、Microsoft、Mozilla、Netflixなどのメンバーが、「ロイヤリティフリーの特許ポリシー(Alliance for Open Media Patent License 1.0)」の下でAV1を開発したと述べており、この標準は「シンプルで寛容なライセンス(BSD 3-)の下で高品質なリファレンス実装によってサポートされている」としている。

サプライチェーン攻撃対策としてSHA pinningの必須化を推進

昨今のサプライチェーン攻撃の激化、特にTrivyやLiteLLMの侵害による影響範囲の大きさを懸念し、企業内でサプライチェーン攻撃対策が実施されている。その対策の一環として、GitHub Actionsで外部のActionを利用する際に、タグ指定(v1など)ではなくSHA(コミットハッシュ)でバージョンを固定する「SHA pinning」の必須化が求められている。SHAで固定することで、意図しないコードの混入を防ぐことが可能となる。タグは可変であり、悪意ある第三者がリポジトリを侵害した場合、既存のタグが指す先を書き換える可能性があるため、SHA pinningはセキュリティ上重要である。

AIエージェント導入で社内問い合わせ対応のリードタイムを大幅短縮

飲食店舗からの問い合わせ対応において、運用サポートチームだけでは解決できない技術的な問い合わせが開発チームへエスカレーションされる社内問い合わせシステムにおいて、課題が顕在化していた。1日あたり約8件の問い合わせが発生し、1件の調査に数時間かかること、リードタイムの中央値が10日であること、ステータス管理が弱くクローズされずに放置されることなどが挙げられる。これらの課題を解決するため、社内問い合わせシステムをAIエージェント化し、定型的な調査とリマインドを自動化することで、対応をチーム全体でスケールさせる方針が取られた。その結果、リードタイムの中央値が10日以上から5時間まで短縮された。これにより、問い合わせ側が状況を鮮明に覚えているうちに解決まで持っていけるようになり、飲食店側の負荷軽減にもつながった。

X Proがプレミアムプランから除外、実質的な大幅値上げにユーザー困惑

Xは3月27日、「X Pro」を月額918円の「Premium」プランから除外した。これにより、X Proの利用を続けるには月額6080円の上位プラン「Premium+」に加入する必要があり、突然の実質的な値上げにユーザーは困惑している。X上では「急に何の告知も無く月額918円から6080円に値上げ?」など不満の声が多く上がった。一方、Xのプロダクト責任者であるニキータ・ビア氏は同日、自身のXアカウントで「今後1〜2週間でXでリリースされる予定の機能は、X Proよりもはるかに強力になる」と代替ツールのリリースを予告した。X Proは、複数のタイムラインを一覧できるインターフェースに統合したXの公式Webツールで、もとは「TweetDeck」という名称のサードパーティー製品だったが、2011年に当時のTwitter社が買収し、2023年8月に名称変更と共に有料会員限定の機能となっていた。

米裁判官、国防総省によるAnthropicのブラックリスト化は権限外と判断

米国地方裁判所のリタ・リン判事は、国防総省がAnthropicをブラックリストに載せ、サプライチェーンリスクに指定しようとした行為を「典型的な修正第1条報復」と表現した。リン判事は、Anthropicの仮差し止め請求を認める命令の中で、「これらの措置はAnthropicを罰するために設計されたものと見られる」と述べた。当局は、より制限の少ない代替案を検討したり、Anthropicが国家安全保障に緊急のリスクをもたらすという証拠を提示したりすることなく、このような極端な措置を講じる権限がなかったとリン判事は指摘した。むしろ、「国防総省の記録は、Anthropicが『報道機関を通じて敵対的な態度をとった』ためにサプライチェーンリスクに指定したことを示している」という。リン判事は、「政府の契約上の立場に公衆の監視をもたらしたAnthropicを罰することは、典型的な違法な修正第1条報復である」と述べた。

海外の反応

AIの進化がもたらす倫理的課題、特にAIがユーザーの意見を肯定しすぎる「おべっか」問題は、スタンフォード大学の研究者によって指摘されており、AIへの信頼を歪める可能性が懸念されている。また、AI研究における米中間の緊張は、国際的な科学協力に影響を与え、中国の研究者が米国大学での研究を避けるようになる可能性が議論されている。データセンターの電力消費量に対する規制強化の動きも、AIのエネルギー需要増大への懸念から、米国上院議員によって提唱されている。

用語解説

MoEモデル

複数の専門家ネットワークを持ち、入力に応じて一部を活性化するAIモデル。

SHA pinning

GitHub Actionsで外部Actionのバージョンをコミットハッシュで固定するセキュリティ対策。

サプライチェーン攻撃

ソフトウェア開発や供給プロセスを悪用し、標的システムに侵入するサイバー攻撃。

AV1

Alliance for Open Mediaが開発した、ロイヤリティフリーのオープンな動画コーデック。

LLM

大量のテキストデータで学習され、人間のような文章を生成する能力を持つAIモデル。

出典

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